2011年4月5日火曜日

リトル・バイ・リトル


富山カレーフェスタ実行委員会の島倉和幸(shimac01)です。僕はこのblogを通して「カレー」の向こう側に見える、さまざまな店の人々の人間性や生き様を皆さんに紹介してゆきたいと考えています。よろしくお願いいたします。

 僕の住んでいる事務所の1階では、高校教師時代の教え子が紳士服店を営んでいる。彼はOASISが昔から好きで、店内では飽きもせず四六時中おんなじアルバムをかけているので、さしてこのグループに興味の無かった僕も、知らないうちに表題の曲を口ずさんでしまうという有様だ。先日もとあるカレー店で、ふと同じこの曲が頭をよぎった。

 その店はJR富山駅前から徒歩3分の古びた飲み屋街の一角にある。スナックを居抜きで借り受けた(と思われる)店内はカウンターのみ10席で、ランチタイムにはわずか1コインでサラダや日替わりカレーに加えてライスやナンが食べ放題となる・・・とここまで書けば賢明な富山カレー信者の方々にはお解りだろう。

 バラク・オバマをほうふつとさせる店主は東京にある同名の店で修行を積み、縁あってここ富山の地に移り住んだ。話しかけると、ネパール人特有のはにかみ屋であるようなのだが、いっぺん、調理する際の真摯な表情には彼の実直な性格が滲み出ていて、とうぜん好感が持てる。

「富山の食い物屋は愛想が無い」とたまに県外の人から伺うが、愛想やおしゃべりは満タンだけど食べ物はそれなり、という(大阪等に散見する)残念なお店より、僕にはこの店が余程マシに思える。

 先日訪れた折はちょうど春休みだったのだろうか、ここ富山の学校に通う2人の息子たちもコップの水を汲むなどし、かいがいしく父親の手伝いをしていた。不謹慎にも「スラムドッグ・ミリオネア」や「運動靴と赤い金魚」をとっさに思い浮かべ、ニヤリとしたのは彼らには内緒だ。

それにしてもこの日は客が僕1人。13時を少し回って昼時を外した時間帯だったとはいえ、この集客では少し心配になる。寡聞にしてランチにおける富山駅前の状況を詳しく知らないにせよ、他のカレー店はここまで酷くは無いだろう。こと2月までいったん店を閉めていた事が災いしているのだろうか。

そんな僕の心情を汲み取ったのか、普段は寡黙であろう店主が口を開いた。

「今は再開して間もなく、お客さんも少ないですが、ゆっくりと頑張って行きます。」

「ゆっくりと」=「リトル・バイ・リトル」。なんか、応援したくなる店だ。

(※写真は二人の息子たちです。)


1 件のコメント:

  1.  少しはにかみ屋な お兄ちゃんと、ばっちりカメラ目線の弟くん。
    オバマな店主も気になるお店。
     ネパールの方なのですか、お国の情勢がふと頭をよぎってみたり。

     まったりと、静かに食事を楽しめそうです。
    富山の飲屋街にある本格カレー店、通いたい一軒ですね。

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